前回の記事で、GTX 560 Tiが壊れてしまったことをお知らせしましたが、最後の手段としてオーブンを使ってリフロー(もどき)を行ったところ、なんとか直すことに成功したので、今回はそのことについて2015/06/06追記:
※注意※
この方法では一時的には回復しますが、また時間が経てばまず"壊れます"。
あくまでも延命処置程度にお考えください。
リフローとは、「リフローはんだ付け」を略した言い方で、あらかじめ常温で付けておいたはんだを、後で加熱して溶かしてはんだ付けすること。それまでの、熱で溶かしたはんだを噴流させて、部品の足をはんだで洗うようにして基板にはんだ付けしていた方法「フローはんだ付け」と対となる呼び方。正確な手順としては、まずペースト状・クリーム状のはんだをプリント基板の必要な箇所に塗布または印刷し、次に表面実装部品をチップマウンタにより基板上の所定の位置に載せ、最後に基板ごと高温の炉を通すことではんだを溶かして、部品と基板をはんだ付けする。リフロー炉とは、リフローはんだ付け装置の意味である。リフローの加熱方法には、赤外線方式、熱風方式、VPS(ベーパーフェーズソルダリング)方式がある。
リフローとは - 製造業技術用語 Weblio辞書より転載
■今回のグラフィックボード(以下、グラボ)の故障原因について
調べてみたところ、グラボのように発熱量の大きいパーツは、通常時と高負荷時の温度差が大きいため、高温・低温の状態を繰り返しているうちに、半田にヒビが入ってしまい、それが原因で接触不良が起き、前回の記事のように画面に市松模様が表示されるなどの不具合が起きてしまうようです(実は、以前使っていたHPのノートPCが壊れた原因が恐らくこれなので、この手のトラブルは今回で2回目です)
しかし、結局はただの接触不良なので、もう一度半田付けをしてやればいいのですが、現在の高集積化した電子部品はなかなか人の手で半田付けできるようなものではないので、普通、上に書いた「リフロー」と呼ばれる方法で、半田付けされているようです
しかし、リフロー炉(リフローを行うための専用の炉)なんてモノは持っていないので、今回は代わりに電子レンジのオーブン機能を使いました(※電子レンジでやると、電磁波でグラボが死にます)
■作業の様子
①グラボからクーラーを外す(※保証が切れるのでご注意!…といっても、こんなことやるのは保証が切れた人だけですが)

クーラーを外して、塗ってあったグリスを拭いたところです
GF114コアに、サムスン製のVRAM(K4G10325FG-HC04)が見えます
ここで、ヒートシンク(画像右の銀色のもの)など、外せるものはできるだけ外します

クーラーは至って普通
②次に、GPUコア以外をアルミホイルで覆う

普通は1重、心配な人は2重で覆えばいいらしいですが、心配症な自分はグルグル巻に…w
③オーブンで焼く
焼く温度、時間についてはいろいろな意見がありますが、今回は240℃2分で行いました
ネット上でよく見かけた条件が、『240℃・90秒』というものです。恐らく、電子部品のスペックからきたリフロー条件なのだと思います。しかし、中には、『3分くらい、がっつり焼いたほうがいい』という記述も見られます。今回は、『240℃・120秒』で行ってみることにします。
画面にノイズが乗るようになったノートパソコンの修理より抜粋
ちなみに、この方法はもともと北米の方で考えられた方法らしく(オーブンを使うので、Oven Trickと呼ばれているらしい)
オリジナルの方法は、1.カードからヒートシンクとグリスを取り除く
2.オーブンを196〜204度Cに余熱しておく
3.アルミフォイルをオーブンに敷く
4.アルミフォイルを丸めて4cmほどにした玉を4つ作る
5.オーブンが所定の温度になった時、玉を四隅に置いてその上にカードをのせる
6.6〜10分間放置する。12分以上やらないこと
7.ENJOY!!!
警告:この方法で直ってもずっと動作し続けるかわからないので、オーブンで焼いたカードを売らないこと
【グラボ】これから毎日グラボを焼こうぜ?【リフロー】 | 自作速報 - 自作PCのまとめよりオリジナルを翻訳したものを転載
とのこと
ちなみに、電子レンジのオーブン機能はほっとんど使ったことがないので、マニュアルを見ながら、まず最初に15分予熱してから行いました(予熱時間はそれぞれのマニュアルを参照してください)
④終わったら、ゆっくり冷ます
ここで一気に冷やして、また半田クラックを起こしてもしょうがないので、とりあえず、オーブン内部の温度が下がるのを待って、下がったら取り出してアルミを剥いで、自然に冷めるのを待ちます(画像では、アルミホイルを丸めたものを四隅において浮かせていますが、なんとなくやったことなので、特に深い意味は無いです)

あとは、コアにグリスを塗って、クーラーを着けて元通りにしたら、PCに戻して、正常に動作するか確認します(OCCTなどで負荷をかけてやって、異常が起きないか確認するといいです)
かなり強引な方法ですが、保証期間が切れた時の最後の手段としてやってみる価値はあると思います
ちなみに、この後、庫内の油汚れが熱で黒くなってこびりついてしまったので、それを掃除する羽目になったのは内緒です
では